SANSHIN 活用Tips Vol.1

 

今回からSonica Instrumentsの新製品「SANSHIN」を使いこなすために、知っておきたいTipsを紹介していきます!

Sonica Instrumentsの製品はKONTAKT上で動作するサンプルベースの音源ですが、ただのサンプラーではなく実際の楽器が持っている独自の発音構造や特徴、挙動を再現する独自の機能を備えています。

シンプルな打ち込み(MIDIデータ)でもリアルなサウンドをお楽しみ頂けるようにチューニングしていますが、もう1歩踏み込み、楽器の構造や特徴を知っていると、さらにリアルで実感のある演奏を再現頂くことができます。

なお、本シリーズは三線や邦楽器に詳しくない方でもイメージしやすいように、テキストと動画を組み合わせながらご紹介していきますので、よろしくお付き合いくださいませ!

 

“ちんだみ”って何?

第1回目のテーマは“ちんだみ”です! 一般のクリエイターの方にはいきなり聞き慣れない単語だと思いますが、簡単に言えば調弦(チューニング)のことです。

三線は3本の弦を指でおさえ、バチで弾いて音を出す楽器。ギターやベースと同じように、各弦をどのような音程に調整するのかが非常に重要になってきます。

余談ですが、3本の弦は太い方から男絃(ウーヂル)、中絃(ナカヂル)、女絃(ミーヂル)と呼びます。SANSHINではそれぞれ1弦、2弦、3弦と表現しています(ギターやベースと逆なので注意してください!)

3つのちんだみ

ギターやベースにも「レギュラー・チューニング」「半音下げチューニング」「オープンチューニング」などチューニング自体にいくつかの種類があるのと同じく、三線では主に「本調子」「二上げ」「三下げ」の3種類が使われており、曲によって使われる調子が決まっています。

SANSHINでは「play」ページにある「Tuning」の項目で、3つのちんだみを切り替えることができます。

■本調子(ほんちょうし / Honchoshi)

本調子は三線でもっとも多く使われるちんだみで、各弦をそれぞれ下記のような音程に合わせます。なお、本調子で演奏する曲のキーは中弦…つまりFということになります。

女弦:C
中弦:F
男弦:C

■二上げ(にあげ / Ni-age)
本調子の2弦(中弦)を1つ上げたちんだみが、二上げ(二揚)です。なお、二上げで演奏する曲のキーは男弦…つまりCになります。

女弦:C
中弦:G
男弦:C

■三下げ(さんさげ / San-sage)
本調子の3弦を1つ下げたちんだみが三下げです。三下げの曲のキーは、本調子同様に中弦となります。

女弦:A#
中弦:F
男弦:C

実際の演奏では、さらにここから謡い手の歌いやすいキーに合わせてチューニングを行います。SANSHINでもTransposeのパラメーターで、同様のセッティングが行えます。つまり、本物三線とまったく同じ感覚で扱うことができるんです!

 

ちんだみで何が変わるの?

実際に三線を弾くならまだしも、音源で何が変わるの? と不思議に思われた方もいらっしゃると思いますが、三線らしいサウンドを得るためには、このちんだみを使い分けることが必要不可欠です!

弦楽器の演奏経験がある方であれば、イメージしやすいと思いますが、調弦を変えるということは、各弦の開放弦を変えるということ。つまり、同じ「ファ」という音も、開放弦で鳴らす場合とソー(ネック)を抑えて鳴らすのでは響きがまったく変わってくるのです。

しかも、三線の曲は開放弦を中心に演奏していくため、どのちんだみで演奏するかで、サウンドや楽曲の印象が別物になってしまいます。
実際に聴いてみましょう! 簡単な比較動画を作ってみましたので、ご覧ください。

 

発音状態が常に確認可能なstring monitor機能

仕組みが分かってしまえばそんなに難しい部分ではありませんが、キーによってはどこが開放弦か、瞬時に判別が付きにくくなってしまうこともあります。
そこでSANSHINでは、各弦の開放弦の音程と、今どの弦が選択され演奏しているのかをリアルタイムに表示するstring monitor  いう機能を搭載しています。

各弦の開放弦が弾かれると赤に。ネック音は緑に色分けして表示されるので、この画面を見れば、今どの弦がどのような表示状態になっているのかをひとめで把握することができるようになっています!

画像4

 

TSUGARU SHAMISENにも応用できます

3つの”ちんだみ”を知っているだけで、よりリアルで三線らしい音色表現が可能になります。

ちなみにこの調弦の仕組みは、好評を頂いているTSUGARU SHAMISEN(津軽三味線)でも搭載されています。※TSUGARU SHAMISENではTuningという表記になっています。

というのも、三味線は三線が本土(本州)に渡って進化を遂げた楽器。調弦も同じものが使われているんです。