TAIKO THUNDER 開発ブログ Vol.5 楽器のサウンドを自在に操る、Instruments Editor機能
TAIKO THUNDER: The Ultimate Collection(以下、TAIKO THUNDER)の最新情報や詳細を発信する本ブログも5回目。開発作業も佳境に入っており、より完成度を高めるべく細かな調整を行っております。
今回は、各楽器に用意されたInstrumentページのパラメーターについて紹介していきます。
Virtuoso Japanese Seriesは、これまでも楽器本来のサウンドを正確に音源ライブラリ化した上で、新たな可能性を感じていただけるような機能を積極的に取り入れてきました。TAIKO THUNDERでは、これまでのライブラリで培った技術やノウハウをさらに進化させ、楽器の大きさやサウンドキャラクターを柔軟に、かつ自然な形でカスタマイズすることができます。
調整できるパラメーターは楽器ごとに異なりますので、それぞれ見ていきましょう!
太鼓系楽器のパラメーター
16種類の太鼓系楽器では、フチ/スティックと打面の要素を右手と左手を独立して変更することができます。
パーカッション系の楽器において、もっとも重要になるのがチューニング。TAIKO THUNDERでは、よく使われる様々なサイズの太鼓を別の楽器として収録していますが、曲調に合わせて微調整したいというケースは多いと思います。
サンプラー音源において、ピッチシフトを使ってチューニングを再現するという手法がもっとも一般的だと思いますが、これだとチューニングを変更すると音のアタック感まで変化してしまい、チューニングを変えたというより”ピッチが変わった”感が強くなってしまいます。
TAIKO THUNDERでは、KABUKI & NOH PERCUSSION 96k MASTER EDITIONでも採用された独自の発音メカニズムを使用することで、アタック成分を保ったままピッチのチューニングを行ったり、逆にアタック要素(皮面)の音色だけを変化させるといったアプローチも可能です。トランジェントのコントロールが重要な現代において、コンプレッサーでは不可能なニュアンスの追求が行えます。
1尺2分2寸の附締太鼓と3尺4寸の大太鼓のフレーズを、一般的なピッチシフトをした場合とTAIKO THUNDERのTuneをアップ/ダウンさせた場合との比較サンプルを用意してみました。ピッチシフトとTuneの変化量はいずれも±2stです。アタック感に注意して聞いてみてください!
[附締太鼓(1尺2寸2分)]
- オリジナル
- ピッチシフトで+2した場合
- TAIKO THUNDERで+2した場合
- ピッチシフトで-2した場合
- TAIKO THUNDERで-2した場合
[大太鼓(3尺4寸)]
- オリジナル
- ピッチシフトで+2した場合
- TAIKO THUNDERで+2した場合
- ピッチシフトで-2した場合
- TAIKO THUNDERで-2した場合
その他にもボディの深さや、使用するバチの材質や大きさによるサウンド変化をシミュレートできたりと、新しい楽器モデリング技術を投入しています。
また奏法にも関連する機能がミュート/チョークキーです。このキーを発音中に入力すると、余韻を止める”チョーク”の挙動が再現できるのに加え、ミュートキーを押しながら発音させることで、皮面を手で押さえながら鳴らすチョーク奏法を表現することもできます。どの位の強さでミュートするのかも調整できるので、ぜひお試しいただきたい機能です。
金属パーカッションのパラメーター
金属パーカッションは、太鼓より少しシンプルです。チャッパ、鉦鼓、神楽鈴では、チューニングや打ち鳴らしたときのアタック成分とその後に続く余韻の要素を個別に調整できるのに加えて、CharacterとToneという切り替え式のパラメーターを採用しました。
Characterは基本となるチャッパのサウンドキャラクターを選択するパラメーターで、Normal / Fat / Brightの3段階から選ぶことができます。Toneは音色のバリエーションで、Vintage、Modern1、Modern2の3タイプが使用可能です。これらの組み合わせで3×3の合計9種類のバリエーションを得られるようになっています。
どのパラメーターもギミック的な要素ではなく、実践的なパラメーターとして使えるような自然な音色変化となるように調整しています。TAIKO THUNDERは、音色を読み込むだけで使い勝手の良いスタンダードなサウンドにチューニングされていますが、今回紹介したパラメーターを使って音色の追い込みにも挑戦してみてください!
次回はTAIKO THUNDERのこだわりのひとつ、マルチマイクの仕様について紹介いたします!