TAIKO THUNDER 開発ブログ Vol.1 製品コンセプトと収録楽器
先日発表し、Webサイトも公開となったTAIKO THUNDER: The Ultimate Collection(以下、TAIKO THUNDER)ですが、今秋のリリースに向けて開発スタッフ一同鋭意作業を進めております。製品の詳細については随時Webサイトで公開していきますが、同時に本Blogでも最新の開発状況や製品のバックボーン、現時点で確定している機能など、最新の情報を一足先にお知らせしていきたいと思います。
初回となる今回は、TAIKO THUNDERの開発コンセプトや楽器のサンプリング収録のこだわり、そして収録楽器についてご紹介させていただきます。
究極の太鼓音源を目指して
TAIKO THUNDERの開発コンセプトは「音質、自由度、操作性等あらゆる面で究極の太鼓音源を作る」という極めてシンプルなものです。2008年に、世界初の和太鼓専用音源として「Japanese Taiko Percussion(BFD Expansion)」を発売し、今なお世界中のクリエイターの皆様にご愛用いただいておりますが、リリースから15年以上経過し、その間に様々な変化が起こりました。
パソコン環境や音源システムの変化や進化ももちろんですが、太鼓のサウンドが世界中に認知されるようになり、サウンドトラックを中心に様々な楽曲の中で当たり前に使われるようになりました。こういった背景から、伝統的なサウンドをしっかり押さえつつも楽器としての新たな可能性を追求できる「現時点で最高の太鼓専用KONTAKTライブラリ」の開発がスタートしました。
そんなプロジェクトがスタートしたのは、実は2016年のこと。もう8年も前のことになります。他の製品リリースと重なったということもありますが、それ以上に製品の仕様はどうするか、それを活かすためにどんな仕組みが必要になるのか…等、検討と検証に多くの時間が掛かってしまいました。
その結果、ようやく辿り着いたのが現在の仕様です。左右はもちろん太鼓の打面位置を指定できたり、太鼓のサウンドキャラクター自体をモデリングするなど、きっと皆さまにもお楽しみいただける製品に仕上がりました。
詳しい機能については次回以降で詳しく紹介するとして、今回はサンプリング音源で最も重要なサンプル収録の様子について紹介いたします。
一流の太鼓奏者の演奏を、最良の楽器とホールで収録
TAIKO THUNDERのサンプル収録は、弊社のこれまでの音源ライブラリ同様にすべて日本国内で、日本人の熟練演奏者の手によって収録されています。
演奏は金子 竜太郎さん、浅野 町子さん、林 幹さん、高田 淳さんの4名にご協力いただき、また太鼓という楽器特性上、スタジオではなくホール(白山市鶴来総合文化会館クレイン/文化ホール)で行いました。
音源サンプルの収録は、様々な奏法とダイナミクス(演奏の強さ)で1音ごとに丁寧に録音していくため、普段の演奏とはまた違った緊張感が漂います。今回は特に楽器数も多く、しかも真冬の(収録は1月でした)ホールという厳しい環境下で、膨大なバリエーションを早朝から深夜まで1打1打、正確かつ魂のこもった演奏を収録させていただきました。
また収録する太鼓にも当然こだわっています。400年以上に渡って太鼓を作り続けてきた日本を代表する太鼓メーカー、浅野太鼓楽器店様のご協力のもと理想的なコンディションの1尺1寸(33cm)の附締太鼓から、最大4尺(121.2cm)という巨大な太鼓までを収録することができました。
サンプルの収録には、色付けのないピュアなマイクやプリアンプを厳選。マイキングも含めて各太鼓の持つサウンドをダイレクトに色付けなく収録。総サンプル容量は非圧縮状態で207GBにも及ぶ巨大ライブラリになりました(製品リリース時には、これより少しコンパクトになります)。
20種類にも及ぶ太鼓を収録
最後に収録楽器についても触れておきますと、TAIKO THUNDER: The Ultimate Collectionは、16種類の太鼓、3種類の金属パーカッション(チャッパ、鉦鼓、神楽鈴)、かけ声の計20種類の楽器を収録した太鼓の総合音源です。
収録楽器については、TAIKO THUNDERの製品ページでサンプル音源をお聴きいただけますので、ぜひご確認ください! またアンサンブルで鳴らしたときの様子をお聞きいただけるデモ曲も公開しております。デモ曲は、随時追加予定です!
どの楽器にもそれぞれの聴きどころがありますが、特に注目していただきたいのが4尺の大太鼓。超低域まで空気を震わせる雷撃のようなサウンドは必聴です! 余談になりますが、製品名のTAIKO THUNDERもここからインスピレーションを得て名付けられています。
また現代の太鼓パフォーマンスにおいて欠かせない存在、かつぎ桶胴太鼓やチャッパを収録している点もポイントです。
ベロシティに対するサウンドのレスポンスも、こだわっている部分。サンプル音源は膨大なサンプルをベロシティレイヤーで鳴らし分けていきますが、ただ機械的に並べるだけではどうしてもサンプルの切り替わるポイントが不自然になってしまったり、音色がシームレスにつながらないという問題が出てきます。
音源としての使いやすさ、打ち込みやすさにも直結する部分ということもあり、現在はその調整に注力している最中です。
次回はTAIKO THUNDER最大の特徴、打面位置によるサウンド変化を再現する「Hitting Position Control」を紹介いたしますので、お楽しみに!