TAIKO THUNDER 開発ブログ Vol.3 用途で選べる、3種類の演奏モード
今回はTAIKO THUNDERをお使いいただく上で大きなポイントとなってくる「Play Mode」について紹介します。
鼓面を打つ場所によるサウンド変化を再現するHitting Positionを実現するにあたり「どのような方法で打ち込むのが便利なのか」を検討する必要が出てきたのは前回ご紹介した通りです。
TAIKO THUNDERでは使い方に応じて選べる3つのモードを搭載することになりました。各モードの違いと特徴は下記のようになっています。
Standard Mode
音源のデフォルトモードでもあるStandard Modeは、片手もしくは2本指で太鼓演奏を再現するためのモードです。
演奏に使用するのはC3、C#3、D3、D#3、E3の5つのキーだけ。太鼓系楽器ではC3が左手Hit、D3が中央、E3で右手Hitが割り当てられており、両手の人差し指をばちに見立てて感覚的にMIDIキーボードを演奏することができます(MIDI Noteの割り当ては設定で変更することもできます)。
なお黒鍵は左右のフチ(Rim)で、その他のアーティキュレーションはキースイッチで切り替えます(シンプルな太鼓演奏であれば、キースイッチ切り替えは不要です)。
Hitting Positionの切り替えは、「モジュレーションホイール」「CC#16 / CC#17」「ピッチベンド」の3種類から選択できるようにしました。
- Mod.Wheel: モジュレーションホイールを選択した場合、左手と右手を個別にコントロールすることはできませんが、リアルタイムで感覚的に音色変化を付けることができます。
- CC#16 / CC#17: MIDI CC#16で右手ポジション、#17で左手ポジションが変化します。リアルタイム演奏の難易度は上がりますが、左右の動きを個別にコントロールできるため、打ち込みでニュアンスを追求したい場合に便利です。
- Pitch Bend: Pitch Bendは少し特殊で、+方向(ベンドアップ)で右手ポジション、-方向(ベンドダウン)すると左手ポジションが変化するという挙動。片方のポジションは固定したまま、もう片方だけポジションを移動するといった演奏を実現することができます。
前回のBlogで紹介したデモサウンドのMIDIデータをStandard Modeで見ると、このようになります。
MIDIノートとしては非常にシンプルですが、MIDI CC#16とCC#17を使って左右の演奏位置を変化させています。
Advanced Mode
2つ目のモードがAdvanced Modeです。Standard Modeは直感/感覚的に使える反面、今どのポジションを鳴らしているのかをパッと区別することが難しいという側面があります。そこで、より細かくデータを作り込みたいときに便利なモードとして、Advanced Modeを用意しました。
Advanced ModeではすべてのHitting Position、その楽器に存在するすべてのアーティキュレーションがすべて個別のMIDI Noteに割り当てられています。
MIDIキーボードを鼓面に見立て、D3が中央ポジション。C#3以下は左手の演奏、D#3以上が右手の演奏が割り当てられています。白鍵が通常のヒットで、D3から離れるほどフチのサウンドに変化していく仕組み。フチやツケ(ドラッグ)、リムショットといった特殊奏法はすべて黒鍵に規則的に割り当てられているので、この法則性を知っておくと把握は意外と簡単です。
こちらも、同じ演奏をAdvanced Modeを使って打ち込んだ場合のデータを見てみましょう!
D3を中央に、高音側の白鍵で右手ヒット、低音側の白鍵で左手ヒットのポジションを発音します。MIDI CCを使わないので、MIDIキーボードやピアノロール上でじっくり考えながら打ち込みたいときに最適なモードと言えるでしょう。
Pad Mode
3つ目がPAD型コントローラー等でのパフォーマンスを想定したPad Modeです。TAIKO THUNDERを開発するにあたって、KONTAKT音源としてDAWソフト上での制作に使っていただくのはもちろん、ステージパフォーマンスにも活用していただきたいという思いがありました。そこで、MIDIパッドに特化したPad Modeを搭載しています。
Pad Modeでは最大8つのパッドに、それぞれ任意のアーティキュレーションを割り当てて鳴らすことができます。通常のHitを割り当てたパッドでは、任意のMIDI CCを使って左右個別にHitting Positionの指定も行えます。パッドに割り当てるMIDI NoteやCCは自由に変更できるので、MIDIパッドや電子ドラム等幅広いデバイスでお使いいただけます。
*本画像は開発中のもののため、正式リリース版ではデザインが一部変更となります。
またRoland社の電子和太鼓、TAIKO-1の機能をフルに活かせるデザインになっています。TAIKO-1や電子ドラムの一部のモデルでは、パッドの演奏ポジションをMIDI CCとして出力することができます。こういったでデバイスとTAIKO THUNDERを組み合わせてご利用いただくことで、太鼓の演奏感をそのままにTAIKO THUNDERでパフォーマンスが可能です。
またPad Modeのこだわりとして、Standard ModeやAdvanced Modeとは個別にベロシティカーブを設定できるようになっています。これによって、PADの特性に合わせて最適な演奏フィールを実現することができます。
ここまで太鼓を中心に見てきましたが、次回はチャッパや鉦鼓、神楽鈴といった金属パーカッション楽器について紹介しますのでお楽しみに!